名古屋市瑞穂区の皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科

アトピー性皮膚炎について ATOPY

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返される疾患です。皮膚のバリア機能の低下と、アレルギーを起こしやすい体質が重なることで発症します。治療の基本は、日々の徹底した保湿とステロイド外用薬による炎症のコントロールです。
しかし、これら基本治療を正しく続けても十分な改善が見られない「中等症から重症」の患者様も少なくありません。

当院では、そうした方に注射薬「デュピクセント」を用いた治療をご提案しています。炎症やかゆみの原因物質を体内から直接ブロックすることで、これまでコントロールが難しかった症状を強力に抑え込み、本来の健やかな肌を取り戻すサポートをいたします。
愛知県名古屋市でアトピー性皮膚炎の症状にお悩みの方は、TANAKA SKIN CLINICまでご相談ください。

アトピー性皮膚炎の原因とメカニズム

アトピー性皮膚炎の原因には、①アレルギー体質 ②皮膚バリア機能の低下 ③環境要因(汗などの刺激)があげられ、それぞれに対して対応をしていくことが重要になります。具体的にはアレルギーがあればアレルゲンに暴露されないようにする、保湿をしてバリア機能を正常化する、原因となる刺激を除去することになります。

アトピー性皮膚炎のゴールと検査

アトピー性皮膚炎の治療のゴールは、症状がないかあっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態です。「完治」というよりは「お付き合いをしていく」という認識が大切になります。

  • なかなか治らない、アレルギーが関与している場合は採血でアレルギーの有無を検査します。
  • アトピー性皮膚炎の重症度の指数としてTARC検査(採血)があります。治療がうまくいっているかの判断材料になります。

アトピー性皮膚炎の治療方法

外用療法(塗り薬)

保湿剤、ステロイド外用薬、タクロリムス、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬があげられます。

保湿剤

皮膚バリア機能低下を補うために、保湿剤は基本的な外用薬となります。

ステロイド外用薬

皮膚の症状の重症度、場所によって適切な強さのステロイド外用を処方します。乾燥が原因の一つでもあるので一般的には軟膏を処方しますが、場所や季節によっては使いやすいローション、クリームタイプも選択します。
アトピー性皮膚炎の症状が落ち着いてきたらステロイドのような副作用の出にくいタクロリムスやコレクチム、モイゼルドなどへ変更します。

プロトピック(タクロリムス)

ステロイドとは異なった作用機序で炎症を抑える薬です。ステロイドを長期的に使用した場合に副作用として、皮膚が薄くなる、毛細血管が目立つようになるなどの副作用が出ることがあるため、症状が落ち着いてきたら副作用が出にくい薬に変更していきます。

コレクチム(JAK阻害薬)

2020年に新しく出た薬です。アトピー性皮膚炎では炎症やかゆみなどを引き起こす信号を免疫細胞に送る「JAK/STAT 経路」と呼ばれるしくみが関わっていることがわかってきました。コレクチム軟膏は、JAK/STAT経路にはたらきかけ、アトピー性皮膚炎の症状を改善します。
6ヶ月以上の小児から適応となっています。

モイゼルド(PDE4阻害薬)

2022年に新しく出た薬です。モイゼルド軟膏はPDE4の活性を阻害し、細胞で炎症および抗炎症に関与する物質の発現を調節することにより、皮膚の炎症を抑えてアトピー性皮膚炎の症状を改善します。
3ヶ月以上の小児から適応となっています。

内服療法(飲み薬)

抗アレルギー剤、シクロスポリン内服があげられます。

抗アレルギー剤

かゆみを抑える、アレルギー反応を抑えるなど補助的に使う薬です。

ネオーラル(シクロスポリン)内服

各種外用では効果が不十分な方に使用します。内服によって腎機能障害が出ることがあるため、定期的な採血が必要となります。

なかなか治らないアトピー性皮膚炎・結節性痒疹の
新たな治療選択肢
「デュピクセント」

「ステロイドの塗り薬を続けているのに、かゆみや赤みが引かない…」

デュピクセント(一般名:デュピルマブ)は、そのような標準治療では十分な効果が得られなかった中等症から重症のアトピー性皮膚炎や、結節性痒疹にお悩みの方へ向けて開発された「生物学的製剤」と呼ばれる新しいタイプの注射薬です。これまでの治療で行き詰まりを感じていた患者様にとって、症状の改善を後押しする画期的なアプローチとして注目されています。

なぜ効くの?根本原因「Type 2炎症」を狙い撃ちにするメカニズム

アトピー性皮膚炎などのしつこい炎症の背景には、本来体を守るはずの免疫システムが過剰に働いてしまう「Type 2(タイプツー)炎症」という状態が潜んでいます。
このType 2炎症を引き起こす主な原因となっているのが、「インターロイキン-4(IL-4)」と「インターロイキン-13(IL-13)」という2つの情報伝達物質です。デュピクセントは、これらの物質が受容体と結びつくのをピンポイントで阻害し、かゆみや炎症のシグナルが伝わるのを根本から断ち切ります。
従来の免疫抑制剤のように全身の免疫力まで幅広く下げてしまうのではなく、「炎症の原因となる特定の経路だけをブロックする」ため、安全性を確保しながら優れた治療効果が期待できるのが最大のメリットです。

アトピー性皮膚炎以外にも広がるデュピクセントの適応疾患

デュピクセントはアトピー性皮膚炎の新しい治療薬として登場して以来、そのメカニズムが他の様々な疾患にも有効であることがわかり、適応となる病気が順次拡大しています。

対象となる主な皮膚疾患
アトピー性皮膚炎をはじめ、全身に強烈なかゆみを伴うしこりが多発する「結節性痒疹」の治療にも用いられています。さらに、原因不明の強いかゆみとミミズ腫れを繰り返す「特発性の慢性蕁麻疹」や、重症化すると全身性のステロイド治療が必要となる「水疱性類天疱瘡」にも使用できるようになりました。

デュピクセントの治療効果と対象となる方

当クリニックでは、患者様の症状に合わせてデュピクセント治療をご提案しています。各疾患への具体的な効果と対象者は以下の通りです。

1. アトピー性皮膚炎:つらいかゆみと肌質を改善

治療開始から比較的早い段階で強いかゆみが和らぎます。掻きむしりが減ることで赤みやジュクジュクが治まり、ゴワゴワした皮膚が徐々に本来の柔らかさを取り戻します。

対象となる方: ステロイド等の塗り薬(標準治療)を続けても十分な効果が得られない方。
治療のポイント: 注射開始後も自己判断で塗り薬をやめず、「体の内側と外側」の両方からケアを継続することが重要です。

2. 結節性痒疹・慢性蕁麻疹:かゆみの悪循環をストップ

・結節性痒疹(けっせつせいようしん)
かゆみを根本から抑え、「かゆいから掻く、掻くからしこりが増える」という悪循環を断ち切ります。掻く回数が減ることで、イボのように硬いしこりが平らになっていくことが期待できます。

・特発性の慢性蕁麻疹
従来の飲み薬では改善しない、原因不明の激しいかゆみやミミズ腫れ(膨疹)の頻度と重症度を大幅に抑え込みます。

デュピクセント治療を受けられない方

デュピクセントは優れた治療薬ですが、患者様の体質や状態によっては投与できない場合や、特別な配慮が必要となる場合があります。ご自身の判断で不安を抱え込まず、まずは医師へご相談ください。

・治療を受けられない方(アレルギー既往歴)
過去にデュピクセントを使用して、アナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギー反応を起こしたことがある方や、注射液の成分に対してアレルギーをお持ちの方は投与できません。

・小さなお子様(生後6カ月未満は原則不可)
日本国内では、アトピー性皮膚炎に対して「生後6カ月以上」から使用が認められています。投与可能な年齢であっても、体重に応じた細やかな投与量の調整が不可欠です。

・妊娠中・授乳中の方
治療によるメリットが赤ちゃんへのリスクを上回ると医師が判断した場合にのみ、投与が検討されます。自己判断で治療を中止したりせず、必ず主治医および産婦人科医にご相談ください。

・治療中の「生ワクチン」接種に関する注意
デュピクセントの治療期間中は、麻疹(はしか)・風疹・水痘(みずぼうそう)・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などの「生ワクチン」の接種は避けていただく必要があります。予防接種の予定がある場合は、事前にスケジュールをご相談ください。

デュピクセントの使い方

デュピクセントは「皮下注射」のお薬ですが、医師の指導のもとでご自宅での自己注射へ移行することが可能です。 現在は針が見えず、皮膚に押し当てるだけで簡単に操作できる「ペン型」が主流のため、どなたでも無理なくマスターできます。

自己注射へ移行する3つのメリット

通院時間を大幅に短縮
2週間に1回の通院が不要に。仕事や学校など、日常生活を優先しながら治療を続けられます。

医療費の負担を軽減
最大3ヶ月分のまとめ処方が可能になるため、高額療養費制度を効率的に活用でき、長期的なコストを抑えやすくなります。

自分のペースで投与
ご自宅のリラックスした環境で、ライフスタイルに合わせてスケジュール管理ができます。

ご自宅で打つ際のポイント

打つ場所: 主に「お腹」や「太もも」です。注射部位の赤みや腫れを防ぐため、毎回打つ場所を少しずつずらします。
保管と準備: 冷蔵庫で保管し、打つ約45分前に室温に戻しておくことで、注射の痛みを和らげることができます。
当院では専用の練習キットを用い、患者様が安心してご自宅での治療をスタートできるようスタッフが丁寧にサポートいたします。手技に不安がある方も、どうぞお気軽にご相談ください。

治療を始める前に知っておきたい
デュピクセントの副作用と対処法

デュピクセントは安全性の高いお薬ですが、いくつか注意すべき副作用があります。事前に症状と対処法を知っておくことで、安心して治療を続けることができます。

1. 注射した部分の赤み・腫れ(注射部位反応)
最もよく見られる副作用です。治療開始直後に起きやすく、注射した周囲が赤く腫れたり、かゆみや痛みが出たりしますが、多くは数日で自然に治まります。

2. 目の充血やかゆみ(結膜炎)
アトピー性皮膚炎の治療を行っている方に比較的多く見られます。目の充血、かゆみ、ゴロゴロとした異物感などが現れることがあります。
対処法: 絶対に目をこすらず、早めに眼科を受診してください。適切な目薬(点眼薬)を使用することで、デュピクセントの治療を中止せずに継続できるケースがほとんどです。

3. 顔や首の赤み(顔面紅斑)
体は綺麗になったのに、顔や首にだけ赤みが残ったり、新たに出現したりするケースが報告されています。原因は様々ですので、自己判断せず当院へご相談ください。

4. 薬の効き目の低下(抗薬物抗体)
ごく稀に、ご自身の免疫システムが薬の成分を異物とみなしてしまい、お薬の効き目が弱くなってしまうことがあります(抗薬物抗体の産生)。「以前より効果が実感できなくなった」と感じた際は、我慢せずにお早めに主治医にお知らせください。

デュピクセントの費用と高額療養費制度

デュピクセントは非常に効果の高いお薬ですが、新薬であるため薬剤費を心配される方も少なくありません。しかし、公的な「高額療養費制度」を賢く活用することで、長期的な家計への負担を大幅に抑えて治療を継続することが可能です。

アトピー性皮膚炎の注意点と正しいスキンケア

アトピー性皮膚炎の安定には、日々の正しいスキンケアが欠かせません。入浴時は石鹸をよく泡立てて手で優しく洗い、入浴後は数分以内に保湿剤を塗布してアトピー性皮膚炎特有の乾燥から肌を守りましょう。
また、室内を清潔に保ち、肌に触れる衣類は綿100%の低刺激な素材を選ぶなど、アトピー性皮膚炎を悪化させる外部刺激を減らす生活習慣も大切です。こまめな保湿と環境整備を継続し、アトピー性皮膚炎の再発を防ぎましょう。

アトピー性皮膚炎のよくあるご質問

Q

ステロイド外用薬を長く使い続けても大丈夫ですか?

A

アトピー性皮膚炎の治療において、ステロイド外用薬は炎症を抑えるために不可欠な薬剤です。医師の指示に従い、皮膚の状態に合わせて適切な強さや量を守って使用すれば、全身的な副作用を過度に心配する必要はありません。自己判断で中止せず、アトピー性皮膚炎の症状を見ながら段階的に減らしていくことが大切です。

Q

デュピクセント治療は誰でも受けられますか?

A

デュピクセントは、従来のステロイド外用薬などの治療を一定期間継続しても、十分な効果が得られない中等症以上のアトピー性皮膚炎患者様が対象となります。当院では、これまでの治療経過や現在のアトピー性皮膚炎の重症度を確認した上で、最適な導入時期を検討いたします。愛知県名古屋市でデュピクセント治療をお考えの方の際は当院までご相談ください。

Q

食べ物でアトピー性皮膚炎が悪化することはありますか?

A

乳幼児のアトピー性皮膚炎では食物アレルゲンが関与することもありますが、成人では稀です。極端な食事制限はかえって栄養バランスを崩す恐れがあるため、基本的にはバランスの良い食事を心がけ、特定のアレルゲンが疑われる場合にのみ、医師の診断に基づいた対応を行うのがアトピー性皮膚炎治療の基本です。

Q

痒みが治まれば、薬を塗るのをやめてもいいですか?

A

アトピー性皮膚炎の湿疹が消えても、皮膚の深いところにはまだ炎症の火種が残っていることが多いです。見た目が綺麗になってもすぐに使用を中止せず、塗る回数を徐々に減らして良い状態を維持するプロアクティブ療法を継続することで、アトピー性皮膚炎の再発を効果的に防ぐことができます。

Q

デュピクセントに副作用はありますか?

A

従来のステロイド内服薬や免疫抑制剤のような全身への強い副作用は少ないのが特徴です。よく見られる副作用としては、注射を打った部分の赤みや腫れ(注射部位反応)と、目の充血やかゆみ(アレルギー性結膜炎)があります。目の症状が出た場合は、必要に応じて点眼薬を処方したり、眼科をご紹介したりするなど適切に対応いたします。

Q

デュピクセントの治療はいつまで続ければいいですか?

A

デュピクセントは非常に高い効果が期待でき、早い方では投与開始から数週間でかゆみや赤みの改善を実感されます。しかし、アトピー性皮膚炎の体質そのものを変える(完治させる)薬ではないため、良くなったからといって自己判断で急にやめると、再び症状が悪化する可能性があります。基本的には継続が必要な治療ですが、症状が十分に安定すれば、医師の判断で投与間隔を延ばしたり、塗り薬のみの治療へ移行したりできるケースもあります。

Q

アトピー性皮膚炎でもお化粧(メイク)はできますか?

A

アトピー性皮膚炎の症状が落ち着いている状態であれば、基本的にはお化粧をしていただいて構いません。ただし、刺激の少ない敏感肌用・低刺激性の化粧品(アルコールフリー、無香料など)を選ぶことをおすすめします。また、メイクを落とす際にゴシゴシ擦らないよう、肌に負担の少ないクレンジングを使用してください。炎症が強く、ジュクジュクしている時や赤みがひどい時は、無理をせずメイクをお休みして治療を優先しましょう。

Q

妊娠中や授乳中でもアトピー性皮膚炎の治療は続けられますか?

A

はい、続けられます。妊娠中や授乳中であっても、安全に使用できる保湿剤やステロイド外用薬などの治療法があります。むしろ自己判断で治療をやめてしまい症状が悪化すると、お母様の強いストレスとなり、かえって良くありません。妊娠の可能性がある、または妊娠・授乳中の方は必ず診察時にお知らせください。時期や症状に合わせて、安心・安全なお薬を処方いたします。

愛知県名古屋市でアトピー性皮膚炎にお悩みの方は、TANAKA SKIN CLINICまでご相談ください。

執筆者情報

院長 田中 陽奈

【略歴】
2011年 公立札幌医科大学卒業
2011年 一宮市立市民病院 臨床研修医
2013年 名古屋大学医学部皮膚科学講座入局
2014年 安城更生病院
2016年 南生協病院
2019年 小牧市民病院
2020年~ ごとう皮フ科クリニック
     広島皮膚科
     マリポサビューティクリニック
     名古屋市内美容クリニック
     大阪市内美容クリニック
     ナチュラルビューティクリニック四ツ橋・恵比寿院
【資格】
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
【所属学会】
日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会
日本抗加齢医学会